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相続がいざ発生するといったい何から始めて良いのか分からないといった不安が多いのではないでしょうか。『備えあれば憂いなし』という言葉もあります。「相続」について基本的な仕組み・流れをみてみましょう。

1.相続税とは

相続税とはお亡くなりになった方が残した財産(亡くなられた日の評価)に対してかかる税金のことを言います。借金等の債務がある場合や葬儀費用等は、財産から控除して残りに税金がかかります。

相続税は、相続または遺贈により財産を取得した場合にかかってきます。 相続とは、民法で定められている法定相続人が財産を取得した場合をいい、遺贈とは遺言によって相続人やその他の人が財産を取得した場合をいいます。(遺言によって財産を与えた人を「遺贈者」、財産をもらった人を「受遺者」といいます。)

相続税には基礎控除があり、財産の評価額が基礎控除の金額以下であれば相続税は、発生しませんし、税務署に対する申告も不要です。また、評価額が基礎控除を超える場合でも、申告をする事によって使える税務上の特例(配偶者の税額軽減、小規模宅地の評価減)により、相続税がかからないケースもあります。

  相続税額速算表

基礎控除=5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

各法定相続人の
取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%

1,000万円超~
3,000万円以下

15% 50万円

3,000万円超~
5,000万円以下

20% 200万円

5,000万円超~
1億円以下

30% 700万円
1億円超~
3億円以下
40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円

基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)平成27.1.1以後の相続・遺贈の場合

各法定相続人の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

2.相続税の申告

相続税の申告及び納税の期限…被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。

相続税が発生した場合の申告と納税の期限

  相続税申告

期限…相続のあったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
提出場所…死亡した人の住所地を所轄する税務署
その他…申告期限を過ぎた場合や申告額を少なく申請した場合、「加算税」がかかります。
<参考>
・7日以内に死亡届の提出が必要です。
・4ヵ月以内に1月1日から死亡した日までの所得を申告が必要です。
・相続の放棄、限定承認をする場合は3ヵ月以内に家庭裁判所に申述が必要です。

  相続税納付

期限…相続のあったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
提出場所…税務署/金融機関/郵便局窓口で納付します。
その他…納税期間を過ぎた場合、「延滞税」がかかります。
<延納・物納>
【延納】何年かに分けて納税する。
【物納】受け取った財産そのもので納税する。
※【延納】【物納】は、相続のあったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申請書を提出して、許可を受ける必要があります。

3.財産を分けるには

相続財産を分ける=遺産分割といいます。
遺言書が有る場合と無い場合で分割方法が違います。

遺言書が有る場合

遺言書が有る場合は、その遺言書の内容に従い分割を行い、その内容に従うことがまず優先される分割方法になります。※遺言書は、検認済みの自筆証書遺言、公正証書遺言等その他の方式の遺言でも、法的形式が整っていれば効力があります。

 遺言書が無い場合

複数の相続人がいる場合、個々の財産を各々の相続人の所有として確定する手続きが必要になります。この手続きを遺産分割協議といい、確定した内容を後日のトラブル防止の為に書面作成するその書類を遺産分割協議書といいます。

 遺産分割協議を行なう時のポイント

  1. 分割協議は相続人全員の合意が無ければ成立せず、相続人の一部を除外してなされた分割協議は無効になります。
  2. 遺産分割協議書は必ず作成し、全員が自署し、実印を押印します。トラブル防止の他、不動産の相続登記などの名義変更や相続税申告書にも使います。
  3. 分割方法は、法定相続分の割合に関わらず、自由に行うことが可能です。
  4. 相続人に未成年者がいる場合、法定代理人(親権者)が協議に参加します。その法定代理人も共同相続人であるときは、利益相反となる為、家庭裁判所で特別代理人の選任を受けて、その特別代理人が未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。
  5. 相続人に海外居住者がいる場合は、印鑑証明書の入手ができないので、日本における印鑑証明書の代替証明書としてサイン証明書を、居住している国の公館で交付してもらう必要があります。
  6. 分割協議そのものが行えなかった場合、家庭裁判所に、分割の調停・審判を請求できます。
  7. 遺産分割には3つの方法が有ります。
    現物分割(一般的に使われる方法)
    不動産・金融資産・預貯金・株式・家財道具・美術品等を各々に分割し調整する「現物分割」を行い、およその金額で分割されるケースが大半です。

    換価分割
    現物分割が不可能な場合は遺産の全部・一部を売却しお金に換えて、それぞれ調整する「換価分割」という方法を用います。

    代償分割
    農用地や事業用財産など一人がすべてその遺産を承継しなければ、その存続が危ぶまれる場合に関しては一人がすべてを相続し、代わりに他の相続人にはそれなりの金銭を支払う「代償分割」という方法を用います。

4.相続開始後の流れ

死亡届の提出:死亡を知った日から7日以内に市区役所・町村役場に死亡診断書を添えて提出します。
  ↓
遺言書有無の確認
  ↓
通夜・葬儀
  ↓
法定相続人の調査
  ↓
遺産の調査・評価
  ↓
相続の放棄・限定承認:相続財産で債務が多いときは、相続の放棄や限定承認手続きをします。
手続きは家庭裁判所で行い、相続開始後3ヶ月以内にしなければなりません。
  ↓
準確定申告:被相続人が事業主の場合は、死亡から4ヶ月以内に所得税の申告をしなければなりません。
これを準確定申告といいます。準確定申告は相続人が連署で申告します。
  ↓
遺産分割協議
  ↓
遺産分割協議書作成
  ↓
相続財産等の登記・名義変更
  ↓
相続税納税相続税の納税期限は死亡から10ヶ月以内です。

5.財産とは

相続財産とは、故人の残した財産的な権利義務のすべてをいいます。権利とは土地などの不動産、現金や預貯金、動産などのプラスの財産で、義務とは借金などの債務で、マイナスの財産です。

プラスの財産 マイナスの財産
不動産(土地・建物) 借金
宅地・居宅・農地・店舗・貸地など 借入金・買掛金・手形債務・振出小切手などの支払債務
不動産上の権利 公租公課
借地権・地上権・定期借地権など 未払の所得税、住民税、固定資産税など
現金・預貯金・有価証券
小切手・株券・国債・社債など
債権・貸付金・売掛金・手形債権・小切手など
その他 その他
株式・ゴルフ会員権・著作権・特許権など 未払費用・未払利息・未払の医療費などの債務
動産 保証債務
車・家財・骨董品・宝石・貴金属など 預かり敷金・保証金など

相続税のかからない財産

  相続財産にならないもの

親権や扶養料の請求権、身元保証など、その被相続人のみに帰属する権利・義務は相続財産には含まれません。また、墓地・墓石や仏具などは、承継はしますが、被相続人を含めた祖先を祭るための祭祀具なので相続財産とは認められません。香典や花輪代なども非課税財産とされています。

墓地、霊廟、仏壇・仏具、神具など
心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
相続人が受け取った死亡退職金のうち一定の金額
相続財産を特定公益信託に支出した場合の額
公益事業を行うものが取得した財産で、その公益事業に使用することが確実なもの
相続人が受け取った生命保険金などのうち一定の金額
相続財産を国や自治体に寄付した場合の寄付財産
生命保険金の内「500万円×法定相続人」の額まで
死亡退職金の内「500万円×法定相続人」の額まで
弔慰金 業務上の死亡-普通給与×3年分 業務上外の死亡-普通給与×6ヶ月分

  相続財産からマイナスできる財産

債務(借入金、未払い金など) *相続人や包括受遺者が相続した場合
葬式費用           *相続人または包括受遺者が負担する場合

  一般的に判断しにくい財産について(補足)

会社(法人) 被相続人が会社を経営していたというような場合です。会社(法人)は相続財産にはなりません。会社は株主(あるいは出資者)によって所有されているものなので、被相続人が株式(あるいは出資持分)を所有していたのであれば、株式や出資持分は相続財産なので、そちらを相続することにより会社を相続することと同じような効果があることになります。
身分保証 被相続人が友人の就職の保証人となっていたというような場合です。身元保証は相続財産ではないので相続人は保証人とはなりません。しかし、具体的に発生した債務、友人が横領していたことが発覚し500万円の損害賠償請求を受けていた場合などは500万円の債務を相続しなければなりません。
連帯保証 被相続人が友人の借金の連帯保証人となっていたような場合です。債務額がはっきりしているか責任額が決められている場合だと相続財産となり、連帯保証債務を相続しなければなりません。
被相続人が借家住まいであった場合 借家人としての地位を相続することができます。
被相続人が土地を借りていた場合 被相続人が土地を借りて建物を建てて住んでいた(この場合の被相続人を借地権者といいます。)というような場合です。この場合は、借地権者としての地位を相続することができます。

 相続税のかかる財産

税法上のみなし相続財産は、遺産分割協議の対象には含まれません。※民法上の相続財産と税法(相続税法)上の相続税のかかる財産は若干異なる部分があります。

  相続税のかかる財産の範囲

相続人は、相続によって被相続人のすべての財産や権利や義務を受け継ぐことになります。したがって、預貯金、貸付金、有価証券、不動産、貴金属、著作権など金銭に見積もることのできるものすべてが含まれます。

被相続人から、相続開始前3年以内の贈与により取得した財産や、相続時精算課税制度を選択した場合に贈与を受けた財産の価格は、相続税の課税対象となります。

6.相続放棄とは

相続放棄をするとはじめから相続人でなかったとみなされ、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないというものです。
一部の財産のみ放棄するということはできません。
相続放棄は債務(借金)が多い場合に有効です。

相続放棄をするには、相続開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、
被相続人の住所地の家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。

家庭裁判所はこの申述書によって本人の意思を確認したうえで受理します。
相続放棄の効力が発生するとその放棄をした相続人最初から相続人ではなかったとみなされます。
よって相続放棄者の子や孫への代襲相続も行われず、残った相続人で遺産を分割することになります。

限定承認と異なり相続人個人の判断で行いますので、相続人のうち一人のみが相続放棄をするとうことも可能です。
また、相続放棄は厳格な手続きであり、いったん受理されると詐欺・強迫などの特別の場合を除き取り消しできないので注意が必要です。
相続放棄をしたあとで、貸金庫が見つかった、などという場合でも相続放棄の申立ての取り消しはできませんので、相続放棄の申立てをする場合は、慎重に相続財産の調査を行う必要があります。
相続放棄は相続開始後でないとすることができないので、相続開始前に相続人の間で相続放棄をするという約束をしていても無効です。
第1順位の相続人が相続放棄をした場合第2順位、第3順位へと相続人が変わります。場合によっては相続人全員が相続放棄をすることも考える必要があります。

 相続分の放棄と相続放棄の違い

相続分の放棄と相続放棄は異なります。
相続人が相続したあとに遺産を取得しないことを一般的に相続分の放棄といいます。(遺産分割協議書で一切相続しない等と定めた場合のことです)この場合相続人としての地位は失いませんので、相続分の放棄をしても法定相続分の範囲で債務を弁済しなければなりません。
債務の弁済を逃れるためには、 家庭裁判所へ「相続放棄の申立て」という手続きを行う必要があります。

 限定承認とは

お亡くなりになった方が残した財産のうち、マイナスの財産の方が多かった場合、相続で得たプラス財産の範囲で債務を返済し、プラス財産が残れば承継する方法です。

マイナス財産のほうが多いけれど、どうしても相続したい特定の財産がある場合や、家業を継ぐ場合など相続財産の範囲内であれば債務を引き継いでも構わない場合などに限定承認の手続きをとります。

限定承認のポイントは下記のとおりです。

限定承認をするためには、相続人全員が共同して相続があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ手続きをしなければなりません。 (相続放棄は相続人のうちの1人のみでもできますが、限定承認は相続人全員でないとできません。)
相続財産を隠したり使ってしまった相続人がいると限定承認はできません。
被相続人から相続人への相続財産の時価による譲渡とみなされるので、含み益が譲渡所得として課税されるので注意が必要です。

※限定承認の手続きは頻雑かつ期限がありますので、ご検討されている方はお早めにご相談ください。

 3ヶ月を過ぎてしまった場合

相続放棄の手続きは、相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があることは前述したとおりです。

あくまでも知ったときから3ヶ月であり、相続開始から3ヶ月以内ではありません。では、3ヶ月が過ぎてしまったら一切相続放棄が認められないかというと、例外もあります。ただし、原則はあくまでも相続があったことを知ったときから3ヶ月以内ですので、相続放棄をお考えの方はお早めにご相談いただければと思います。

7.遺留分とは

遺留分とは、一定の相続人に相続財産の一定割合の承継を保証したものです。

 遺留分の権利者とは

兄弟姉妹以外の相続人になります。子の代襲者にも遺留分はあります。

 各相続人の遺留分

第一順位の相続・・・・配偶者と子
 配偶者・・・・4分の1
 子・・・・・・4分の1(子が複数いる場合には、4分の1を均等割)
第二順位の相続・・・・配偶者と直系尊属(父母)
 配偶者・・・・3分の1
 直系尊属・・・6分の1(父母共に健在なら12分の1)
配偶者のみの相続 配偶者・・・・2分の1
配偶者と兄弟姉妹
 配偶者・・・・2分の1
 兄弟姉妹・・・なし

遺留分は遺留分権利者が権利を主張しなければ、遺留分を取り戻すことはできません。

要するに家庭裁判所に遺留分の減殺請求をしなければなりません。また、権利の主張は個々人がしなければならず、権利を主張した人だけが自分自身の遺留分を取り戻すことができます。遺留分の減殺請求は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内にしなければなりません。

 遺留分の算定の基礎となる財産とは

被相続人が相続開始の時において有していた財産の価額
  +
その贈与した価額
  -
債務の金額

「その贈与した価額」については、相続開始前の1年間にしたものに限り認められます。
ただ、1年前にしたものであっても当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したものについても認められます。

*減殺請求の順序は?
遺贈から→不足があるとき→贈与へ

*遺留分権利者は、相続開始前に遺留分の放棄をすることができます。(注意)相続の放棄は相続の開始前にはできません。

8.遺言とは

遺言とは、自己の財産を自己が死亡した後、最も有効かつ有意義に活用する為に行う遺言者の意思表示です。
相続を巡り、親族間で争いの起こる例が多々あり、このような争いを未然に防ぐために、
遺言者自ら、自己の財産の帰属を決定することに主な目的があります。
また、死後に遺言者の意思をめぐって争いが起きないように、遺言の作成にあたっては民法で定めた一定の方式に従わなければなりません。

 遺言できる事項の例

遺言できる事項は民法で定められています。

身分に関するもの

結婚外でできた子供(非嫡出子)の認知
■ 未成年者の後見人及び後見監督人の指定

財産に関するもの財産の処分

 遺贈
■ 財団法人設立のための寄付行為
■ 信託の設定

相続に関するもの

 相続人の排除及び排除の取り消し
■ 祖先の祭祀主権者の指定
■ 相続分の指定または指定の委託
■ 特別受益者の相続分
■ 遺産分割方法の指定及び指定の委託
■ 5年間以内の遺産分割の禁止
■ 相続相互の担保責任の指定
■ 遺言施行者の指定または指定の委託
■ 遺贈の遺留分減殺方法の指定
■ 生前贈与または遺贈の持ち戻しの免除

民法で決められた遺言の方式には、普通方式と特別方式の2種類があります。

普  通  方  式  遺  言
自筆証書遺言 遺言者が全文、日付、氏名を自署して押印することにより作成された遺言書
公正証書遺言 証人2人以上の立会いのもと、遺言者が口述した遺言を公証人が筆記し、遺言者・証人に読み聞かせ、各人が署名、署名捺印して作成された遺言書
秘密証書遺言 遺言者が作成した遺言書の封筒に、公証人が提出日付と遺言者の遺言である旨記載し、公証人、遺言者及び証人がそれぞれ署名捺印して作成された遺言書
特  別  方  式  遺  言
一般危急時の遺言 病気などにより死が間近に迫った者が、3人以上の証人の立会のもと、遺言の趣旨を口述してその一人が筆記し、遺言者と他の証人に読み聞かせるか、または閲覧させ、他の証人が正確に書かれていることを承認したあと、各証人が署名、捺印する
難船危急時の遺言 船舶遭難により死が間近に迫った者が、証人として船長又は事務員1人及び2人以上の立会いのもとに遺言を口述し、証人が筆記して署名、捺印する
一般隔絶地の遺言 伝染病の為に行政処分によって交通を断たれた場所にある者が、証人として警察官1人と証人1人以上の立会いのもとに作成し、各人が署名、捺印する
船舶隔絶地の遺言 航海中の者が、船長または船の職員1人と公証人2人以上の立会いのもとに作成し、各人が署名、捺印する

*特別方式の遺言は、遺言者が普通方式による遺言をすることができるようになってから6カ月以上生存しているときは、その効力を失います。

遺言は、作成時に成立し死亡時から効力が発生します。*遺言に停止条件をつけた場合は、その条件が成就した時点から発生します。*遺言は民法で定めた方式にしたがっていない場合には無効になります。

遺言は生前ならいつでも撤回できます。遺言はその人の最後の意思を尊重するための制度であり、死亡するまで意思を変えることは自由だからです。遺言の撤回は、必ず遺言の方式にしたがわなくてはなりません。ただし、撤回したといわなくても、前の遺言と内容が異なる遺言を新たに作成すれば、前の遺言は撤回されたことになります。また、Aに譲ると遺言した財産を生前に売ってしまった場合があります。このような時は、遺言と矛盾する部分については撤回されたものとされます。遺言者が遺言書を故意に破りすてたときも、破棄した部分の遺言については、撤回したとみなされます。

 遺贈とは

遺言によって財産を他人に無償で与える事を遺贈といいます。

9.生前贈与とは

生前贈与とは、被相続人が死亡する前(生きているうち)に、自分の財産を人に分け与える行為です。

財産の贈与(法人からの贈与を除きます。)を受けた個人(「受贈者」といいます。)は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産について、「暦年課税の贈与」「相続時精算課税の贈与」に区分して、贈与税の申告をしなければなりません。
1「暦年課税」の贈与に該当するもの
※1年間に受けた財産の贈与の額の合計額が110万円(基礎控除額)を超える場合に限ります。2「相続時精算課税」の贈与に該当するもの
※課税対象の贈与はすべて申告する必要があります。

暦年課税
概要 1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(2人以上の人から贈与を受けた場合又は同じ人から2回以上にわたり贈与を受けた場合のいずれであっても、1年間に受けた贈与財産の価額の合計額)を基に贈与税額を計算する方式です。
その財産の価額の合計額が基礎控除額である110万円を超える場合には、贈与税の申告をする必要があります。
(注)贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、その死亡前3年以内にその贈与者から贈与を受けた財産を除き、相続又は遺贈を受けた財産の価額に贈与を受けた財産の価額を加算する必要はありません。
相続時精算課税
概要 特定の贈与者からの贈与について相続時精算課税を選択した年分以後の各年分においては、その贈与者から1年間に贈与を受けた財産(「相続時精算課税適用財産」といいます。)の価額の合計額を基に贈与税額を計算し、将来その贈与者が亡くなった時にその相続時精算課税適用財産の価額(贈与時の時価)と相続又は遺贈を受けた財産の価額(相続時の時価)の合計額を基に計算した相続税額から、既に支払った相続時精算課税適用財産に係る贈与税相当額を控除した金額をもって納付すべき相続税額とする方式です。(贈与税額控除により控除しきれない金額がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることになります。)
相続時精算課税適用財産の贈与を受けた場合には、その財産の価額の合計額が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。
また、申告に際しては次の点に注意してください。
1-相続時精算課税に適した贈与者が2人以上いる場合には、相続時精算課税を選択するかどうかについては、贈与者ごとに選択することができます。
2-相続時精算課税を選択した場合には、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべて相続時精算課税が適用され、暦年課税への変更はできません。
適用要件
適用対象者 贈与者 贈与をした年の1月1日において65歳以上で、かつ、贈与をした時において受贈者の親であること。
受贈者 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上で、かつ、贈与を受けた時において贈与者の子(直系卑属)である推定相続人であること。
(注1)上記の推定相続人が亡くなっている場合には20歳以上である孫(代襲相続人)を含みます。
(注2)その贈与者の養子になるなどの事由により、贈与を受けた年の中途においてその贈与者の推定相続人となった場合には、推定相続人となった時より前にその贈与者から贈与を受けた財産については、相続時精算課税の適用を受けることはできません。
適用手続 相続時精算課税の適用を受けようとする人は、その最初の贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」を「贈与税の申告書第一表」、「贈与税の申告書第二表(相続時精算課税の計算明細書)」及び一定の「添付書類」とともに受贈者の住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。 なお、贈与税の申告期間内に上記の申告書、届出書及び添付書類の提出がないときは、暦年課税の贈与税の対象となります((注2)に該当する人を除きます。)。 (注1)上記により、相続時精算課税選択届出書を提出した人を「相続時精算課税適用者」、その届出書に係る贈与をした人を「特定贈与者」といいます。
(注2)上記の届出書は、その届出に係る贈与者から贈与を受けた財産について、前年分以前の贈与税の申告において相続時精算課税の適用を受けている場合には、再度提出する必要はありません。添付書類も同様です。
(注3)前年分以前の贈与税の申告において相続時精算課税の適用を受けている人であっても、その適用に係る贈与者以外の人から贈与を受ける財産について、相続時精算課税の適用を受けようとする場合は、贈与税の申告期間内に、新たに届出書等を提出する必要があります。
(注4)上記の手続は、住宅取得等のための金銭の贈与の特例のひとつである相続時精算課税選択の特例を受ける場合にも必要となります。

 贈与税の税率

贈与税の税率は6段階に分かれています。 贈与税額の計算に便利な速算表を次のとおり掲載します。 速算表の利用に当たっては、贈与を受けた財産の価額の合計額から、配偶者控除額(限度額:2,000万円)及び基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価格(千円未満の端数切捨て)を当てはめて計算してください。

 贈与速算表

平成26年12月31日以前の贈与基礎控除=110万円

基礎控除後の課税価格税 率控除額
200万円以下 10% -
200万円超~300万円以下 15% 10万円
300万円超~400万円以下 20% 25万円
400万円超~600万円以下 30% 65万円
600万円超~1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超 50% 225万円

(例)贈与を受けた金額が500万円の場合
(500-110)万円×20%-25万円=530千円

平成27年1月1日以後の贈与 基礎控除=110万円

(イ)直系尊属から20歳以上の者への贈与

基礎控除後の課税価格税 率控除額
200万円以下 10% -

200万円超~
400万円以下

15% 10万円

400万円超~
600万円以下

20% 30万円

600万円超~
1,000万円以下

30% 90万円

1,000万円超~
1,500万円以下

40% 190万円

1,500万円超~
3,000万円以下

45% 265万円

3,000万円超~
4,500万円以下

50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

(例)贈与を受けた金額が500万円の場合
(500-110)万円×15%-10万円=485千円

(ロ)左記以外

基礎控除後の課税価格税 率控除額
200万円以下 10% -

200万円超~
300万円以下

15% 10万円

300万円超~
400万円以下

20% 25万円

400万円超~
600万円以下

30% 65万円

600万円超~
1,000万円以下

40% 125万円

1,000万円超~
1,500万円以下

45% 175万円

1,500万円超~
3,000万円以下

50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

(例)贈与を受けた金額が500万円の場合
(500-110)万円×20%-25万円=530千円

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